『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原理恵子:あなたにとって「お金」ってどんな存在?

だいず
ゆばくんは以前、「お金持ちになりたい」って言ってたよね。
ゆば
おう!お金はパワーだぜ!オイラは稼いで稼いで、この一回きりの人生を楽しむんだ。
だいず
「お金」は「パワー」か!なるほどねー。
きなこちゃんは、「お金」ってひとことで言うとなんだと思う?
きなこ
ひとことかぁ…。そうだなー、なんか「怖いもの」って感じかな?
だいず
ふむふむ、もうちょっと詳しく聞きたいな。
きなこ
ゆばくんの言うように、お金ってパワーがあると思うんだよね。それに引っ張られて危ない稼ぎ方をしたり、めちゃめちゃな使い方をしたりする人もいるでしょ?だからちょっと怖いなーって思うの。
ゆば
お金はおっかねぇー!ってかw
きなこ
・・・。
だいず
・・・。
ゆば
・・・。
だいず
なるほどね。ふたりともありがとう!
今日は、お金について考えるきっかけになる本を紹介するよ。

 

 

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『この世でいちばん大事な「カネ」の話』あらすじ

「生まれて初めて触ったお金には、魚のウロコや血がついていたのを覚えている」――お金の無い地獄を味わった子どもの頃。お金を稼げば「自由」を手に入れられることを知った駆け出し時代。やがて待ち受ける「ギャンブル」という名の地獄。「お金」という存在と闘い続けて、やがて見えてきたものとは……。「お金」と「働く事」の真実が分かる珠玉の人生論。

Amazon紹介文より)

きなこ
『毎日かあさん』の人だ!
ゆば
西原さんはこの世でいちばん大事なのは「カネ」って思ってるんだな。オイラといっしょだ!
だいず
あ、それはちょっと違って、西原さんは「カネの話をすること」がすごくすごく大事だって言いたいんだと思うよ。
西原さんは「カネ」について壮絶な経験をしてきた。そこから「何のためにカネがいるのか」「なぜ働くのか」という思考を深めていったんだ。

 

「貧困」が「暴力」を生むと知った子ども時代

だいず
西原さんは6歳まで、高知県の浦戸っていうところで暮らした。太平洋の目の前で、決して裕福ではないけれど、のどかな港町だったそうだ。
きなこ
へー、海の見える家ってすてきだね。
だいず
だけどお母さんの再婚を機に、高知県内の工業団地へと引っ越すことになる。
ゆば
再婚して暮らし向きはよくなったのかな?
だいず
経済的な面ではそんなに変化を感じなかったようだね。なのに、前とは違う重油のにおいと人々の殺伐とした雰囲気に、なんだか不安を感じるようになる。町全体が貧困にあえいでいたんだ。

お金に余裕がないと、日常のささいなことがぜんぶ衝突のタネになる。食べたり着たりどこかに行ったり、そういう生活のひとつひとつのことぜんぶにお金が関わってくるからね。お金がないと、生活の場面のいちいちでどうしても衝突が避けられない。
それも何十万、何百万って話じゃない。何万円、何千円の話で激しいいさかいをする。たったそれっぽっちの金額でののしりあう、この情けなさが、わかる?

(中略)

女の子のわたしは、両親のケンカがイヤで、その場から逃げる。逃げるんだけど、お父さんがたいていの場合、探しにくるんだよ。お母さんに予防線をはるために、わたしを自分の味方につけようとして。そうなるともう、愛玩犬状態。
「ほーら、こっちに来なさい。理恵子はほんとうにいい子だね」
お父さんは、わたしをだっこして、ケンカの修羅場の空気をなごませようとする。
だから、こっちもだんだんそれを察するようになって、家の中の雲行きがあやしくなると、逃げるよりも率先して父親のひざにのってみたりした。「カワイイわたし」を演じて、その場の空気をなごませる。女の子がとる、典型的なふるまいだよね。

第一章 新しい町、新しい「お父さん」より

きなこ
あぁ、その気持ちわかるなぁ…。パパとママのケンカって本当にさみしくて苦しくなるよ。
ゆば
子どもでも家の中の雰囲気はよくわかるもんね。
だいず
大人の余裕のなさは、弱者である子どもたちにはダイレクトに響く。町の子どもたちは荒れて、居場所をなくして、悪い先輩とつるむことが多かった。

どうして子どもたちが、そんなことになってしまったんだと思う?
あのね、「貧困」と「暴力」って仲良しなんだよ。
貧しさは、人からいろいろなものを奪う。人並みの暮らしとか、子どもにちゃんと教育を受けさせる権利とか、お金が十分にないと諦めなければいけないことが次から次に、山ほど、出てくる。それで大人たちの心の中には、やり場のない怒りみたいなものがどんどん、どんどん溜まっていって、自分でもどうしようもなくなったその怒りの矛先は、どうしても弱いほうに、弱いほうにと向かってしまう。
貧しいところでは、だから、子どもが理不尽な暴力の、いちばんの被害者となる。
あのころ、どの家でも、親が子どもを殴っていた。

第一章 「暴力」と「貧困」が居場所を奪う より

きなこ
子どもを殴るなんて八つ当たりじゃん…かわいそうだよ…。
ゆば
お金がないって、それだけで心の余裕がなくなっちゃうんだね。
だいず
そう。お金がないという欠乏感のストレスは、思考力や自制心を失わせてしまうことがあるんだ。
きなこ
だからってこんなの許されることじゃないよ!
だいず
そうだよね、許されることじゃない。それくらい町が疲弊しきっていたんだ。
そして、西原さんが東京の美大を受験するその日。お父さんが突然、自殺してしまう。
きなこ
えっ……お金の問題で?
だいず
ギャンブルでかさんだ借金を、ギャンブルで取り返そうとして失敗した。西原さんは、お父さんの葬式の日に「カネ」の恐ろしさを目の当たりにすることになる。

麻雀の借用書を片手に「五千円返せ」と言ってくる人。「生前、もらう約束をしていたので」と、お父さんのゴルフクラブのセットを持って帰る人。どさくさにまぎれて、もらえるものはもらっておこうっていう根性の人がどっさり、来ていた。
わたしは、お父さんは社長だって思っていた。でもちがったみたい。
「社長」「社長」ってペコペコすりよってきていたのは、どうしようもない、乞食みたいな人たちで、お父さんは社長は社長でも、乞食の社長だった。
最後の最後まで羽振りのいいフリをして、見栄をはっていたお父さんの残していったなけなしのものが、身ぐるみをはがされるように持っていかれようとしている。
お母さんは、そんなお父さんに殴られて腫れ上がったままの顔で、そういう人たちに「すみません、すみません」って頭を下げている。
そのときになって、わたしは、初めて本当に知った。うちには、本当は「カネ」がなかったんだって。

第1章 お父さんが、行ってしまった日 より

ゆば
切ないなぁ。
きなこ
お父さんが亡くなっただけでもショックなのに、こんなのやりきれない。
だいず
お金がないことによって、人間らしい思いやりすら失われてしまう。西原さんのお金に対する向き合い方は、こうしてつくられていったんだ。

 

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大事なのは「カネ」があることじゃなくて、「カネ」を稼ぐこと

だいず
西原さんは、紆余曲折あって高校を退学。イラストレーターになるため、美大を目指して東京の予備校に入った。

予備校の生徒の中には、「寝たきり浪人」と呼ばれる子たちがいっぱいいた。それは、課題をこなすうち、だんだんわかってきた自分の実力と目標とのギャップにおじけづいて、予備校から足が遠のいてしまった子たちだった。
好きだったはずの絵を描くこと自体、もうイヤになっちゃう。予備校の教室にも出なくなって、自分の部屋からも、一歩も出たくなくなっちゃう。
その気持ちが、わたしには痛いほどわかった。
自分のダメさがわかるって、こわいもんね。そりゃあ、誰だって逃げ出したくもなるよ。
まして、わたしは最下位だもん。描けば描いただけ、自分のダメさ加減が身にしみるようにわかってくる。自分が情けなくって、いちいち落ち込んで、泣きたい気持ちよ、もう。

第2章 「寝たきり浪人」と、こってりワル汁 より

きなこ
最下位かー、そりゃ逃げ出したくもなるよ。
ゆば
絵がうまい人が集まるところだから、プライドが傷つく人も多いんだね。
だいず
ぼくにも「寝たきり浪人」みたいな経験があるから、ここを読むと胸が痛くなる。だけど、西原さんをグッと踏みとどまらせたものは「カネ」だった。

悩みって、ツボに入ると、なかなか出てこられなくなる。きっと脳の中で悪い汁が出ているんだよ。こってり背脂のような、ワル汁がね。
そうやってグルグル悩んでたからって、答えなんかみつかるわけがない。
それに、わたしは、逃げるわけにはいかなかった。だってお母さんは、百四十万円というわが家の全財産のうち、百万円もわたしに託してくれたんだから。
大事なそのお金で、もう東京の部屋にも住みはじめているし、冷蔵庫も洗濯機も、買っちゃったんだもん!いまさら「ダメでした」なんて、帰れるわけがない。
当時、予備校の学費が年間で約六十万円。日野市内の家賃四万円のアパートを借りて、部屋の敷金、礼金も払い、一人暮らしに必要なものを買うと、手元にはいくらも残らなかった。

第2章 「寝たきり浪人」と、こってりワル汁 より

きなこ
えらいなぁ。お母さんが財産のほとんどを出してくれたから踏ん張れたんだね。
ゆば
オイラも、ワル汁ぶしゃーってなったらこの話を思い出すことにするよ。
だいず
西原さんは、アルバイトを掛け持ちしながら美大に入り、なんとか課題をこなしていく。
きなこ
もう後には引けないもんね!
だいず
それでも、周りが華々しい就職をどんどん決めていく中、西原さんはなかなかうまくいかなかった。
だが、ある業界に自分を売り込んだことで一気に開花する。
きなこ
ある業界?
だいず
エロ雑誌の挿絵だ!
ゆば
うひょひょひょひょ!!!あ、でも『毎日かあさん』のタッチなのか、チッ。
きなこ
チッ、じゃないでしょ!
だいず
プライドの高い美大生ならぜったいに売り込まないジャンルだ。
だけど西原さんはそこでの活躍が評価され、麻雀漫画やグルメリポート漫画など、仕事の幅をどんどん広げていったんだ!

どこかに、自分がしっくりくる世界がきっとある。
もし、ないとしたら、自分でつくっちゃえばいい。
働くっていうのは、つまり、そういうことでもあるんじゃないかな。
仕事っていうのは、そうやって壁にぶつかりながらも、出会った人たちの力を借りて、自分の居場所をつくっていうことでもあると思う。
威勢がいいように見えて、わたし、ホントはものすごいクヨクヨする人間なのよ。
でも、どんなに落ち込んだときでも、働いて、千円でも二千円でも、五千円でも一万円でも稼げば、「よしっ、あれ、買っちゃうか」って、なるでしょ?
働いていれば、人間、そんなにものごとを悪く考えたりはしないものよ。

だから大事なのは、単に「カネ」があるってことじゃない。
働くこと。働きつづけるってことが、まるで「自家発電」みたいに、わたしがその日を明るくがんばるためのエンジンになってくれたのよ。

第2章 「カネ」を稼ぐこと、「自由」になること より

きなこ
働くことは自分の居場所をつくること、って感じなのね。
ゆば
たしかに宝くじで大金を当てたとしても、どこにも居場所がなかったらさみしいかもなぁ。
だいず
そうだね。西原さんは、仕事をお金を稼ぐだけの手段だとは思っていない。今できる仕事をすること、それがすなわち人間らしく生きることになるんだ。

 

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「好きな仕事」と「生きるための仕事」の真ん中に

だいず
この本を紹介しようと思った理由はね、いま若い人の間で仕事に対する価値観が極端になっているのを感じているからなんだ。
きなこ
極端って?
だいず
「お金のためにイヤイヤ働く」もしくは「好きなことで自由に働く」。さぁあなたはどっち?みたいな感じかな。
ゆば
インフルエンサーでそういう人多いもんね。まぁオイラも好きなことで自由に働きたいタイプだな!
だいず
それが悪いというわけじゃない。ぼくも自分の仕事を愛していたいからね。
ただ、「好きなこと」が見つからなくてモヤモヤしている人にはこの本が響くと思ったんだ。

「カネとストレス」、「カネとやりがい」の真ん中に、自分にとっての「バランス」がいいところを、探す。
それでも、もし「仕事」や「働くこと」に対するイメージがぼんやりするようならば、「人に喜ばれる」という視点で考えるといいんじゃないかな。自分がした仕事で人に喜んでもらえると、疲れなんてふっとんじゃうからね。

(中略)

自分にとっての向き不向きみたいな視点だけじゃなくって、そういう、他人にとって自分の仕事はどういう意味を持つのかっていう視点も、持つことができたらいいよね。
自分が稼いだこの「カネ」は、誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。
そう実感することができたら、それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。

第4章 自分の「真ん中」はどこにあるのか より

きなこ
自分が好きかどうかだけじゃなくて、人に喜んでもらえるかっていう視点もあるといいねってことか。
だいず
そうだね。きっとどんなに好きなことでも、それを仕事にしたらつらいことはいっぱいある。
けど、「楽しいかつらいか」と「向き不向き」はまったく別の軸だと思うんだ。
ゆば
なるほど。どちらを選ぶかって極端な問題じゃなくて、うまくバランスをとれるところがいい仕事ってことだね。

生きていくなら、お金を稼ぎましょう。
どんなときでも、毎日、毎日、自分のお店を開けましょう。
それはもう、わたしにとっては神さまを信じるのと同じ。
毎日、毎日、働くことがわたしの「祈り」なのよ。

(中略)

覚えておいて。
どんなときでも、働くこと、働きつづけることが「希望」になる、っていうことを。
ときには、休んでもいい。
でも、自分から外に出て、手足を動かして、心で感じることだけは、諦めないで。
これが、わたしの、たったひとつの「説法」です。
人が人であることをやめないために、人は働くんだよ。
働くことが、生きることなんだよ。
どうか、それを忘れないで。

おわりに より

きなこ
人が人であることをやめないために、かぁ。西原さんの子ども時代を思うと胸に迫るなぁ。
ゆば
オイラお金がいっぱいあれば幸せだと思っていたけど、ちょっと変わったかも。
だいず
働くことは生きること。たしかにお金には怖い側面もあると思う。だけど、お金を稼ぐっていうのは「誰かの幸せのためにがんばった」という証でもあるんだ。
きなこ
そうだね!ちょっとウチも考え方が変わった気がする。
ゆば
いっぱい稼ぐには、いっぱい人を幸せにすることだね!
だいず
うん。それに、いっぱいお金を稼いだそのとき、きっとお金では買えないすばらしいモノもたくさん手に入れられていると思うよ。

 

 

だいず
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